2015年07月22日

山小屋の窓から覗くマッドピエロ4

前回→山小屋の窓から覗くマッドピエロ3


扉を叩いているのは、間違いなくさっき見たピエロだ。


姿の確認をしたわけでもないのに、ピエロが全力で玄関扉を叩いている姿が目に浮かんできて、俺の全身を恐怖が支配する。


部屋中回っても、電波が通じる場所はない。


ドンドンドンドンドンドンドンドン


扉を叩くのを止めないのは、ここが電波の通じない場所で、警察が来られないということを知っているためか?


俺たちは恐怖で、パニック状態だった。


突然。


友達は何を思ったのか、スタスタと玄関の扉の前まで行くと、


「あ、あの〜・・・どちら様ですか・・・?」


完全に震えたか細い声で、尋ねていた。


この異常なドアの叩き方からして考えられないことではあるが、もしかすると近隣住人が訪ねてきたのかもしれないなどと考えたのかもしれない。


外からは返事がない。


相変わらず扉を叩くだけ。


ドンドンドンドンドンドンドンドン


ドンドンドンドンドンドンドンドン


「あ・・・あの〜・・・いい加減辞めてもらえませんか・・・?か、帰ってください・・・」


怯えきった声で友達は言っている。


ドンドンドンドンドンドンドンドン


ドンドンドンドンドンドンドンドン


鳴りやまないドアの音。


友達はその場にヘタレこんで、下を向いてしまった。


泣いているように見えた。


大げさかもしれないが、俺には彼が生きることを諦めたようにも見えた。


ここで座り込むなんて、俺にはできない。


恐怖で足はガタガタだったけれど、何かあったらすぐに逃げ出そうと思っていた。


・・・・時間の感覚が分からないが、扉の音は止んでいた。


手には携帯を握りしめてはたが、時間の確認はしていない。


無性にトイレに行きたかったが、怖くて行けない。


もう、漏れるか、膀胱が破裂するのではないかというくらいの尿意だったが、それでもトイレに行く勇気はなかった。


最悪の場合、漏らせばいいくらいに思っていたのかもしれない。


駄目だ・・・もうトイレが限界だ・・・


俺がそう思ったとき、友達もふとこちらを見た。


しばらくぶりに目を合わせた気がする。


「トイレ行かない?」


俺が誘うと、友達も力なく頷き、こう言ってきた。


「ちょっと漏らしてるよ俺。」


漏らしてると言われても、全く汚いという感じもしなかったし、ダサいなどとも思わなかった。


この状況なら当然だ、くらいに考えていた。


二人でトイレに行き、戻ってくると、ソファーに座り一息ついた。


座ってみて思ったのだが、ずいぶん長いこと突っ立っていたせいか、足が異様に疲れていることに気が付いた。


まるで棒のようだ。


もう大丈夫か?


ピエロはいなくなったのか?


俺たちは朝まで無言もまま起きていた。


・・・日が昇り始め、部屋に光が届いてくると、すぐに帰り支度というか荷物を手にする。


話し合っていたわけではないが、友達も同じ行動をしていた。


こんな場所、すぐにでも逃げ出したかったのだ。


俺たちは、怖かったが意を決して、外に飛び出すと、走って山道を下った。


お互いに一睡もしていないし、疲れ切った身体だったが、それらを凌駕するほど怖かったのだ。


バス停まで来たときに、はじめて足を止めた気がする。


とにかく息が上がっていたが、辺りをキョロキョロと見まわすのだけはやめなかった。


バスに乗り、駅に着くと、俺たちは警察に電話すべきか、友達の親戚の人に電話すべきかマ話し合った。


俺はすぐに警察を呼ぶべきだと主張したが、友達は親戚の意見を聞きたいと言っている。


駅にいる安心感からか、俺は友達の意見を尊重した。


親戚の人と友達は電話でしばらく話し込んでいた。


電話が終わると、友達は申し訳なさそうに言っていた。


「とりあえず、警察への通報は待ってほしいってさ・・・」


俺は多少怒りがこみあげてはきたものの、今はとにかく疲れていたから、家に帰りたかった。


その後、結局警察への通報もしなかったし、このことはうやむやになったままになってしまった。


あのときのピエロはいったい何者だったのか?


そして、何が目的であの別荘に入ろうとしていたのか?


今となってはすべてが謎のままだ。


終わり


posted by ぬーベー at 05:00 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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