2015年06月20日

山小屋の窓から覗くマッドピエロ3

前回→山小屋の窓から覗くマッドピエロ2


冷静になって考えてみれば、窓ガラスを壊さずに鍵を開けることは、かなり難しいことのように思える。


でも、このときはそんな冷静な判断力など失われていた。


俺たちは、先ほどのソファーの部屋に戻ると、何度も辺りをキョロキョロ見渡して、落ち着かない状態になっていた。


警察に連絡すべきか?


いいや。


窓の外にピエロがいただけだ。


別に脅迫されたわけでもない、警察に通報するのは大袈裟だ。


だがしかし、ピエロの格好なんて、尋常じゃないのでは?


近隣にピエロを職業に住んでいる人がいるんだよ・・・


そうだ、近隣にピエロが住んでいて、普段電気の点いていないこの部屋に明かりが灯っているから、中を確認しただけだ。


そうに決まっている。


でも、この辺りに人は住んでいるのか?


「なあ、この辺りに人って住んでるのか?」


俺は疑問を口にした。


「さあ。この辺のことは、全く知らないけど・・・立地的に毎日生活するには不便だし。たぶん、住んでない気がする・・・」


「そ、そうだよな・・・」


また、二人で黙り込む。


黙り込みながらも、二人の視線はキョロキョロと動いていた。


本当はこんなとき、楽しくおしゃべりすればいいのかもしれないが、俺たちは二人とも、何かしらの物音を聞きのがしたくなかったのだと思う。


ガラスの割れる音や、家の中を誰かが歩く音など、身に危険が及ぶのを避けるために、神経を集中していたのだ。


そのとき、玄関の扉を誰かが叩いた。


ドンドンドンドン


俺と友達は互いに、顔を見合わせた。


恐怖に引きつった顔でこちらを見ている友達。


きっと俺も全く同じ顔をしていたことだろう。


ドンドンドンドン


俺たちは視線を、玄関扉の鍵に集中した。


よし、施錠はされている。


だが、不安で仕方ない。


こんな扉。


大人が壊そうと思えば、簡単に壊れるだろう。


ドンドンドンドンドンドンドン・・・・


扉の叩き方が、尋常な感じではない。


「け、警察だ・・・警察に通報しよう。」


友達が、顔面蒼白になって訴えた。


俺は無言でうなずくと、携帯を手に取った。


その時になって思い出す。


そうだ・・・


ここは、電波が通じない場所なのだ。


一気に、絶望と恐怖が増してきた。


ドンドンドンドンドンドンドンドン


耳を塞ぎたい。


俺は、震える足でウロウロ部屋を彷徨いながら、電波が通じる場所を探した。


続き→山小屋の窓から覗くマッドピエロ4


posted by ぬーベー at 01:04 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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