2014年10月07日

小学生夏休みの恐怖 家出と怪人6

前回→小学生夏休みの恐怖 家出と怪人5


朝になるまでの間、俺は近所の公園の滑り台の下で過ごした。


怖かったし蚊に刺されまくったけれど、さっきまで感じていた強烈な恐怖に比べたら、どちらも大した問題にはならなかった。


この辺りの時間帯のことは、正直言ってあまり覚えていないのだ。


おそらく、とてつもなく疲れていたから。


・・・・朝になると、自宅に帰りすぐに眠ってしまった。


風呂も入らず汚れたままの身体だったが、人生でこんなに起きていたことが無かったため、とにかく疲れていたのだ。


・・・・母親に起こされるまで、夕方まで全く起きなかった。


明け方に帰ってきたと思ったら、服は汚れているし、何も話さないで眠ってしまうしで、母は酷く心配してくれていたようだった。


俺は、昨日のことを親に言うわけにもいかずに、適当な受け答えで切り抜けた。


すると、母親はまだ心配そうな表情を残したまま、伝言をくれた。


「●●くんと、○○くんと、××くんと、△△くんたちから、何度も電話あったよ。今、寝てますって答えておいたけど。」


そうか、みんな無事だったのか。


「ユウタ、ユウタからは連絡あった?」


「ユウタくん?ユウタくんからは、ないけど。」


ユウタのことだから大丈夫だとは思ってはいるが、やはり心配になっていた。


いろいろ尋ねて来る母親を、ここでも適当にあしらうと、俺は昨日一緒にいた友達連中と連絡を取った。


そして、連絡のついた奴らで今から公園に集まることにした。


・・・・公園には、6人全員が集まった。


ユウタも来ていたのだ。


俺は、ここにきて初めて心からホッとできた気がした。


皆の話を聞く限り、昨日男に追いかけられたときに、4人はすぐに表に飛び出し自転車で逃げ出していたのだとか。


ビル内に残ったのは、俺とユウタだけ。


そう、俺のピンチを偶然にも救ってくれたのはユウタだったのだ。


ユウタもその後、男をうまく撒いて、何とか逃げられたらしい。


なんだか、俺たちは大冒険をしたような気になってきていた。


ただ、危ない男から逃げただけだというのに、自分たちがとんでもない偉業を成し遂げた英雄のような気になってきて、さんざん昨夜の話で盛り上がった。


・・・・それから1か月ほど過ぎたであろうか。


自分たちの武勇伝も自慢し飽きた頃のこと。


地元のニュースで、ある事件が取り上げられた。


覆面の男の通り魔事件だった。


通り魔に襲われた人が、地元でちょこちょこ現れ出して、目撃者の話によると、犯人は覆面を被っていたとのことだった。


俺たちは、すぐに「あの時の男だ」と直感し、怖くなった。


やはり、あのときもしも男に捕まっていたら、殺されていたかもしれなかったのだ。


今、皆が無事でいることが奇跡のように思えてきた。


この話に後日談はない。


結局、その通り魔が捕まったのか捕まっていないのかすら、俺は知らない。


だけど、こんなとてもスリリングな恐怖は、なかなか体験できないような気がする。


今となっては、飲みの場でのちょっとした自慢話のようになっている。


終わり


posted by ぬーベー at 20:53 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。