2014年09月01日

小学生夏休みの恐怖 家出と怪人3

前回→小学生夏休みの恐怖 家出と怪人2


懐中電灯は点けられない。


カーテンのついていない窓から差し込む月明かりと、暗闇になれてきた瞳を頼りに、そーっと部屋を出た。


この状況を舐めているのか、はたまた本気で不器用なのか、友達の誰かが音を少し立てながら歩いているのが本気で腹が立った。


つま先からゆっくり足を踏み出さずに、かかとから歩いているのだ。


バカな友達にイライラしながらも、部屋を出る。


廊下に出てみると、隣の部屋の扉は少しだけ開いていて、光が漏れていた。


部屋の中には誰かがいて、きっと懐中電灯を点けているのだろう。


誰なんだ・・・


こんな時間に、こんな場所で、一体誰なんだ・・・・?


さっきは友達の手前、ビビっていることを表に出せなかったけれど、この状況が本気で怖かった。


出来れば、今すぐにでも逃げ出したいくらいだった。


あの不気味な雰囲気は、言葉では伝わらないかもしれない。


得体の知れない何かが、すぐそばにいるような感覚。


その不気味な恐怖の中、ゆっくりと前進した。


なんとか隣の部屋の前まで、たどり着くと皆は顔を見合わせる。


そして、「中を覗こう」というジェスチャーだろう。


部屋の中を指さし合った。


緊張と恐怖に支配された心。


1%の好奇心。


俺たちは扉を覗くという窮屈な位置だったからなのか、それとも怯えているからなのか、皆が身体を押し付け合うような形になりながら、部屋の中を覗いた。


中には、大人の男が一人見えた。


スーツを着ている。


いいや、正確に言えばスーツを脱いでいるところだった。


こんなところで、こんな時間に何してるんだ?


男は、懐中電灯の明かりを上手に使いながら、スーツからジャージのような格好に着替えていた。


そして、最後にはなぜだか銀行強盗が被るようなマスクを顔につけた。


顔全体が隠れて、口と目だけが空いているニットのマスクだ。


夏に、ニットのマスク。


どう考えてもおかしい。


男は着替え終わると、こちらをぱっと向いた。


何かに気が付いたというよりも、部屋を出ようとしただけかもしれない。


おそらくこの時点では、明暗差で俺たちのことは見えていなかったはずだった。


それなのに、友達の誰かがビビッて逃げ出したのだ。


後先を考えずに、音を立てながら走り出したのだ。


「くそ、バカっ!」


心の中で叫んでも意味はなかった。


廊下で誰かが走る音を聞いて、部屋の中にいたマスクの男が叫んだ。


「誰だっ?そこにいるのはっ?!」


続き→小学生夏休みの恐怖 家出と怪人4


posted by ぬーベー at 22:10 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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