2014年05月23日

一人旅の悲劇 寝袋で眠っていたら襲われた

これはもう、10年以上前の話。



当時の俺は、趣味が全くない20歳の青年で、なにか人生の楽しみを見つけたいを思っていた。



そこで、一人旅を趣味にしようかと思い立ち、寝袋を購入し日本各地を回ろうと計画した。



まず、記念すべき第一回目の旅行は、某S県に決定。



理由は特にない。



大学の友達(大して仲良くない)が、その県出身だと言っていたのを思い出したのだ。



早速俺は、リュックと寝袋を担ぎ、その県に電車で向った。



昼間は、ぶらぶらと観光し、夕方辺りから寝場所を探し始めた。



なにせ、野宿など生まれて初めてだったので、なるべく人が少なく暗すぎない場所を選びたかった。



さすがに、真っ暗闇は怖い。



小一時間ほど、うろうろしてみると、ちょうど屋根のついた場所でそばに自販機の明かりがある場所を見つける。



人通りも少なく、今日見た中で一番の場所に思えた。



よし、今日の俺はここに泊まろう。



そう、心の中で決めると、俺は夜飯を食べに出かけた。



食事も終わり、公園のトイレで歯磨きも終えた俺は、さっき見つけた寝場所へと戻った。



もう、人は全くと言っていいほど通っていない。



早速、寝袋を敷くと、少し早いが就寝することにした。



旅の疲れからか、すぐに眠ってしまった。



どれくらい眠っただろうか。



遠くで、



カンカン



と音が聞こえる気がした。



眠たかったが、何となく怖いので目を開け辺りを見回した。



暗いせいか、寝起きで視力が低下しているからなのか、よく見えない。



俺は、手探りで懐中電灯を探した。



その間にも、



カンカン



という音は確実に近づいてきていた。



それどころか、なにやらブツブツと人が呟く声が聞こえてきた。



何を言っているのか、よく分からない。



俺はやっとのことで、懐中電灯を見つけ出し、スイッチを入れ音のする方向に向けた。



・・・・・・そこに、人が立っていた。



50メートルくらい先だろうか。



おそらく男だ。



手には、棒のような物を持っている。



それが、金属バットだということに気が付くのは、数十秒後のことだ。



ゆっくり、ゆっくり、フラフラするようにこちらに近づいてくる男。



俺は、この不気味な状況が、心底怖かった。



体中が震え、何をすれば良いのか分からない。



できれば、寝袋の中に潜ってしまいたかったが、それをやったらアウトな気がして、ただただ呆然自失状態だった。



男が20メートルくらいまで近づいてきたときだろうか。



俺は、怖かったが勇気を振り絞ると寝袋の外に出て、話しかけてみた。



「あのー?・・・・」



・・・・・・・



返事はない。



男は相変わらず、ブツブツ小声で呟きながら、こちらにヨタヨタと近づいてくる。



俺は、もう一度声をかけた。



「あのー・・すみません?」



すると、今度は男が顔を上げて、急激に近づいてきた。



今までゆっくり動いていたものだから、とんでもないスピードに感じてしまった。



男は、高速でこちらに近づいてくると、腕を振り上げ金属バットを振りかぶる。



慌てて、俺は飛びのいた。



いいや、正確に言えばしりもちをついたような格好になった。



男は、渾身の力でバットを俺に向かって叩きつけてきたのだ。



何の躊躇もなく、初対面の相手にだ。



俺がしりもちをついたおかげで、何とか避けられた・・・・



が、男はまたバットを振りかぶった。



俺は、死に物狂いで逃げ出した。



正直に言うと、この辺りから記憶が少し曖昧だ。



どうやって逃げ出したのかよく覚えていないが、とにかく逃げた。



一つはっきりと覚えているのは、俺を襲ってきた男が呟いていた言葉が



「正義」



だったということ。



逃げ出すときに、たしかに聞こえたのだ。



「正義ーー!」



と叫んでいたのを。



正義のために俺を襲ったというのだろうか?



・・・・意味が分からない。



俺は、怖くて怖くて明け方まで、草むらに身を潜め震えていた。



辺りが明るくなったころに、寝袋まで戻ってみると、もう誰もいなかった。



荷物はそのまま放置していたから、金目の物を盗られたかと心配したが、何も盗られていないかった。



あの男が何をしたかったのか、全く分からない。



一応、その後S県で、「浮浪者が襲われる」などのニュースがないかどうか調べてみたが、そんなニュースは無かった。



初めての一人旅で、こんなにまで怖い思いをしてしまった俺は、その後二度と野宿をすることも一人で遠出することもなくなった。


あのとき、偶然起きていなかったら、俺は今頃この世にいなかったかもしれない。



そう考えると、今現在もトリハダが止まらない・・・・



あのときの寝袋は、今も押し入れの中で、埃をかぶったままだ・・・・


posted by ぬーベー at 23:41 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。