<本当にあった怖い話・追いかけてくる日本人形>
俺が20代前半のころの話。
ある理由があり、地方で1週間ほど過ごしたことがあった。
旅行ではないのだけれど、説明すると長くなるので旅行だと思ってもらえればと思う。
で、その場所は、かなりの田舎で、見渡すかぎり野山。
宿泊先は、小さな山の階段を上った先にあるのだけれど、その階段の途中にこれまた小さな公園があった。
公園と呼んでいいものかどうかも分からない、小さな公園。
ベンチとブランコ、ジャングルジムが設置してあるだけの所。
ある日のこと。
時間はもう夜の12時近かった。
俺は、用事を済ませ、宿泊先に戻ろうと、山の階段を上っていた。
小さな山だが、田舎の山だ。
辺りは真っ暗闇。
俺は、懐中電灯で足元を照らしながらゆっくりと歩いていく。
暗闇の中、たった一人で知らない土地を歩くのは男の俺でも少し怖い。
俺の中の恐怖心からだろうか?
わずかだが、
キィーキィー
と、鉄がきしむような音が聞こえてきた気がした。
何の音かはまったく分からなかったし、俺はそのときはそれほど気にすることなく階段を上り続けた。
キィーキィー
また聞こえた。
気のせいではないようだ。
キィーキィー
相変わらず聞こえるその鉄のきしむような音は、俺が階段を上るたびに大きくなるように思えた。
誰かがこの先で、何かやっているのかな?
と思い始め、それでも音を気にすることなく階段を上り続けた。
少なからず怖さもあったが、それでも気にせずにいられたのは、実際問題ここで幽霊に出くわすというのもリアリティーに欠ける気がしたからだ。
キィーキィー
階段をかなり上ってきたからか、もうしっかりと音が聞こえる。
俺は、小さな公園の場所までたどり着いていた。
真っ暗闇な中、公園の街灯が申し訳程度に辺りを照らしている。
キィーキィー
どうやら、音は公園の中から聞こえてくるみたいだ。
俺は持っていた懐中電灯で、公園内を照らしてみた。
おそらくだが、ブランコが揺れているようだった。
誰かいるのかな?
こんな夜中に、公園で誰が・・・・
一瞬、「幽霊かもしれない」という恐怖心が浮かぶが、すぐにそれを否定する。
いいや、夜の公園といえば、どこぞのカップルが、卑猥なことしている可能性の方が圧倒的に高いじゃないか。
やめておけば良いのに、俺は好奇心から公園内に足を踏み入れてしまった。
怖いもの見たさ、好奇心。
このときの自分の行動は、明らかに早計だった。
公園内に入ると、どことなくその空間だけ空気が冷たいような気がして一つ身震いをする。
風邪ひくのかな?
そんなことを思いながら、ブランコに向かって歩いていく。
少しずつ近づいていく俺。
ブランコに何か小さなものが乗っかっているのが見えてきた。
懐中電灯を持っているとはいえ、暗くて何が乗っているのかは分からない。
野良猫かなにかが、ブランコの上に乗っているのだろうか?
その重みで、ブランコが揺れているのだろうか?
と思ったそのとき、そこに乗っているものが見えてしまった。
そこには・・・・日本人形が、座っていたのだ。
キィーキィー
キィーキィー
鉄がきしむ音は、日本人形がブランコを漕ぐ音だった。
続き→追いかけてくる日本人形2
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