2013年05月26日

廃村 恐怖実話3


前回→廃村 恐怖実話2



俺の感じた違和感は、車を降りてからますます強まった。



そして、この違和感の正体にうすうす気がつき始めていた。



でも、それを認めたくない。



認めてしまったら、すべてのことのつじつまが合わなくなってしまうのだ。




俺は、おじいさんの家の玄関の前に立つと、先週と同じように戸を叩いた。



ドンドンドンドン




「すみませーん。」




俺の声はむなしく響く。



そして、戸を叩いた手にホコリがつき、そのホコリは宙に舞った。




くしゃみを一つすると、もう一度戸を叩く。



嫌だ。



認めたくない。




だが、何度戸を叩いても、誰も出てきやしないのだ。




だって、この家は、空き家なのだから。




空き家・・・




空き家なんてものじゃない。



今にも崩れそうな家と言っても、過言ではないかもしれない。




どう見ても、先週俺が訪ねた家と同じには見えない。



でも、同じ家なんだ。




覚えているんだ。




先週来たときに、見た表札。




その表札とまったく同じものが、その民家にはあったのだ。




先週と違う点は、タイムマシーンにでも乗り込んでしまったかのように、すべてが古くなっているということ。



民家も表札も。




俺は、怖かったが、少し歩いて他の民家も確認してみた。



だが、すべての民家に人の気配はない。




ここには、生きている人間はいないだろう。



人の住めるような環境ではない。




実際、車を降りていろいろ歩いてみて分かったが、道路から少し外れると、もう地面は荒れ果てていて、若者の俺ですら上手に歩けない。



ここで、老人が暮らしていくこと自体不可能だと思う。




そうなんだ。




きっとここは、廃村なんだ。



しかも、ずいぶん前に廃村となったのだと思う。




俺は、おじいさんの家の前に羊かんを置き、大きな声でお礼を言った。




「先週は、ありがとうございました。お蔭で無事に家にたどり着けました。」




そして、車に乗り込むと帰路につく。



なぜだか分からないが、涙が止まらなかった。



運転中危なっかしいが、悲しくて仕方がなかったのだ。




きっと、あのおじいさんは、村への未練を残して亡くなったに違いない。



その未練の思いがこの世に残り、あの晩、道に迷った俺を助けてくれたんだと思う。



なぜ助けてくれたのかは分からない。



でも、とても人の良さそうな人だったから。



死して尚、人助けがしたかったのかもしれないな。




廃村 恐怖実話」終わり


タグ:実話 恐怖 廃村
posted by ぬーベー at 18:02 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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