2012年12月28日

怖い話実話 長編「夢でよかった」11


前回→怖い話実話「夢でよかった」10


二人とも無言で、さっき「人がいないこと」を確認した部屋を見回す。


もう、隠れる場所はないはずだ。


「とにかく、もう一度ビデオテープを良く探せ。」


友達も恐怖を感じているのかもしれない。


スパナを握りしめながら、唸るように言った。


部屋中、一通り探してみたが、ビデオテープは見つからない。


あの映像が夢だったかのように、テープは忽然と姿を消していた。


俺が力なくうなだれていると、


「なあ、テープなくても警察行った方が良くないか?」


友達も少し元気がない。


「ああ、そうだな。でも、行っても取り合ってもらえない気がするわ。証拠が何もないし。」


「確かにそうだけどさ。。。。何もしないのはしゃくだろ?」


「・・・・なあ、今日お前ん家に泊めてもらえないか?」


「ああ、それは構わないけど。どうせ、ここにはもう戻らないんだろ?荷物まとめて、次が決まるまでうちに住んでいいぜ。」


「悪いな、ありがと。そうさせてもらえると助かるわ。。。。あ、気づかなくて悪いな。なんか飲むか?缶のウーロン茶があるんだ。缶に入ってるから安全だと思う。」


そういって、冷蔵庫にウーロン茶を取りに行ったとき、冷蔵庫に貼ってある使ってない小さなホワイトボードに、


「い  な い」



と、汚い字で書かれているのを発見した。


いったい、こいつが何をしたいのか分からなかった。



それを発見した直後から、俺はもうその部屋への未練をすべて捨て去った。



友達に手伝ってもらい、その日のうちに部屋を空にし、もう戻ることはなかった。


また、例のビデオ撮影者がなぜか履いていた俺のスニーカーは、そのときに処分した。


警察へは行ってはみたが、やはり証拠がなければ動けないとのこと。


交番のおまわりさんがいい人で、親身に話を聞いてくれたのは嬉しかった。


このエピソードに、これ以上の続きはない。


あれから15年以上経つが、家を引っ越してからは何も被害はなかった。(もちろん、引越し先がばれぬように、ありとあらゆる手は尽くしたが)


あのビデオ撮影者の男が何者なのか、なぜ俺をターゲットにしたのか、何がしたかったのか、などたくさんの疑問は残ったままだ。


今でも、たまに夢でうなされる。


うなされて起きたあとに、決まって思い出してしまうのは、


「ねえ?・・・・夢でよかった?・・・」



という、あいつの意味不明な言葉だ。



終わり


posted by ぬーベー at 07:37 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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