2012年12月26日

怖い話実話 長編「夢でよかった」9


前回→怖い話実話「夢でよかった」8


普段見慣れているはずのアパートが、今日はまったく別の建物に見える。


気のせいだろうか。


今日のアパートは、いつもよりどんよりしている。


二人で、ゆっくりと外の階段を上ると、部屋の鍵を開ける。


あれ・・・・?


「どうした?」


俺の手が進まないことに疑問を感じたのか、友達が聞いてきた。



「鍵が開いてる。」


二人の顔に緊張が走る。



友達は、無言でバッグの中からスパナを取り出す。


俺は部屋の外に立てかけて放置したままだったビニール傘を手に持った。


こんな物でもないよりはましだ。


手にジンわりと嫌な汗をかいているのが自分でも分かる。


怖い、出来れば入りたくない。


でも、こっちは男二人だ。


いざとなれば、正当防衛でぶっ飛ばしてやる。


片手で傘を持ち、片手でドアノブを回した。



きぃぃぃーーーー



ドアがきしむ音に驚き、小さく悲鳴を上げそうになった。



ちくしょう、俺の弱虫め。


カーテンを閉めたままの部屋は薄暗い。


ワンルームの部屋にも、入り口からは見えない死角がたくさんある。


部屋を二人で、慎重に見て回る。


キッチン、風呂トイレ、ラックの裏。


残るは押入れのみ。


友達が小声で俺に伝えてきた。


「お前が横から押入れ開けろ。俺が正面からスパナ振り下ろす。いっせいのっせ、で、行くぞ!」


俺は無言で、顔を縦に振ると、声を出さずに目配せで「いっせいのっせ」。


直後、一気に押入れを開け放つ。



その瞬間、友達は勢い良くスパナを振り下ろした。


続き→怖い話実話「夢でよかった」10


posted by ぬーベー at 07:16 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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