2012年12月24日

怖い話実話 長編「夢でよかった」7


前回→怖い話実話「夢でよかった」6


目的の駅に到着する。


俺は、辺りをしつこいくらい見回す。


よし、こちらを見ている人間はいない。


だけど、とにかく不安なのだ。


誰かに見られているようで、誰かに追われているようで、今にもまた「ねえ?・・・・夢でよかった?・・・」と声をかけられそうで不安なのだ。


やっとのことで友達の住むアパートにたどり着いた。


ピンポーン


インターホンを鳴らすが反応ない。


ピンポーン ピンポーン


頼むよ、いてくれよ。


ドアノブを回してみる。


駄目だ、やはり鍵がかかっている。


なんで、こんなときに出かけているんだよ。



ピンポーン ピンポーン ピンポーン


ちくしょう、何でいないんだよ。


ドンっ ドンっ ドンっ


ドアを叩いた。


すると、突然、ドアが開いた。


怒りと恐怖を足して2で割り、驚きを掛け算したような表情の友人が、そこに立っていた。



「なんだよ、お前かよ?いったい何?何度も何度もビックリするだろ?」


不機嫌な声だ。


「悪いな、ベルしたんだけどね。(ポケベルに文字を入れることを当時ベルすると呼んでいた)」



「ああ、寝てたから見てねえよ。つーか、俺は休みの日は、午前中は起きないことにしてるんだ。」


「入っていいか?」


友達の言うことを無視して俺は聞いた。


とにかく今は外にいたくない。


いつ後ろから、得体の知れない奴が現れるか分からない恐怖がそこにはあったのだ。



「ああ。入れ。」


まだ、少し不機嫌だ。


それとも寝起きだからだろうか。


友達はぶすっとしていた。


でも、今の俺はそんなことを気にしてなんていられない。


自分の部屋以外の部屋がこんなに落ち着けるだなんて、昨日の俺からは想像できないことだが、とにかく友達の家に上げてもらえて安心できた。


後からその友達に聞いたのだが、このときの俺はしばらくの間泣きそうな顔していたらしい。


そして、喉が死ぬ程乾いていた。


人は本気で恐怖を感じると、口の中の水分が飛んでしまうのかもしれない。


それを知ってか知らずか、友達はだまって冷蔵庫からコーラを出してくれた。


俺はすぐにコーラを飲み干した。


途中何度も炭酸でむせたが、今の俺には何よりのご馳走だった。


コーラがこんなに安心できる飲み物だとは知らなかった。


飲み終えた俺に向かって、いつに無く真剣な顔をした友達が聞いた。


「いったい何があった?ただ事じゃないんだろ?」



続き→怖い話実話「夢でよかった」8


posted by ぬーベー at 06:40 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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