2012年12月20日

怖い話実話 長編「夢でよかった」3


前回→怖い話実話「夢でよかった」2


撮影しているビデオカメラが大きく揺れて、一瞬地面が映った。



そのとき、酷い吐き気がした。



歯磨きをしていたからじゃない。



地面と一緒に、俺はあるものを見てしまったのだ。



それは、その撮影者の靴だ。



撮影者の靴が、俺の靴と同じだったのだ。



同じメーカーの靴って意味じゃない。


俺の靴そのものだった。


なんで、それが自分のものかわかったのかというと、当時ナイキのスニーカーが流行っていた時代だった。


学生身分の俺には、1足何万もするスニーカーには、とうてい手が出ない。



でも、ナイキに憧れていた俺は、ナイキの偽物を安く買って、友達と一緒にオリジナルの色を塗っていたのだ。



だから、そのスニーカーは世界でたった1つしかないのだ。



暗闇でも、一瞬のことでも、見間違えない。



映っているのは俺の靴だ。


確認しに玄関に行きたいけれど、本当に怖かった



気が狂いそうだった。


人間の恐怖は、こんなにも大きくなるのだとそのとき初めて知った。



何とか勇気を出して、玄関に向かう。



あった。



俺の靴。



ここにある。



じゃあ、なんであのビデオ撮った奴も、これ履いているんだよ。



一時停止したビデオの画面がチカチカしている。



この先を見たくない。


何か恐ろしいものが映っていそうな気がしていた。


続き→怖い話実話「夢でよかった」4


posted by ぬーベー at 06:21 | 実話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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